歯科衛生士となるためには、歯科医療振興財団が厚生労働大臣からの委託を受けて実施している国家試験に合格しなければなりませんが、その対策を始める上でまず知っておきたいのは試験問題の難易度です。
2012(平成24)年に試験の実施基準が現行のものになってからの歯科衛生士国家試験の受験者数は、初年度こそ旧基準から移行した影響で3,600人あまりと大きく減りましたが、翌年以降は常時6,000人を超え、旧基準下での水準に回復しています。
試験の難易度を知る上で重要なのは合格率ですが、これはすべての年で90%を超えており、数字の上では、無事に試験当日を迎えられれば、余程のことがない限り合格は間違いない程度の難易度であるといえます。
歯科衛生士国家試験を受けるためには、まず文部科学大臣指定の歯科衛生士学校か、都道府県知事指定の養成施設を卒業しているか、受験する年の3月中頃までに卒業する見込みとなっていなければなりません。
学校や養成施設は、たくさんの専門知識を学び、実習を重ねた上で、指定された数だけ単位を取得してようやく卒業となるため、人によっては国家試験対策の勉強より、学校や養成施設での勉強の方が大変だと感じるでしょう。
歯科助手で働いていたら歯科衛生士の受験に有利?
歯科衛生士の国家試験を受けるにあたって、歯科医院で歯科助手として働くことを考え、実際に勤めている人は少なくありません。
口腔の治療現場を間近で見ながら働くことは、歯科衛生士として仕事をするにあたってプラスに働くのではと考えるようになるのは自然なことです。
しかし、歯科助手として働くことで歯科衛生士の国家試験において大きく有利になることはないといえます。
その理由としてまず挙げられるのは、歯科衛生士の国家試験が筆記のみで行われることです。
歯科助手として働くと、労働時間の分だけ試験対策の勉強にあてられる時間が減ります。それに加えて、歯科衛生士として働くために必要な知識と技能は、養成施設ですべて習得することが可能です。
毎年の合格率が9割を超えているとはいっても、しっかりと試験勉強をしないと不合格となることに変わりはなく、確実に国家試験に合格するためには十分な勉強時間を確保する必要があります。
また、歯科助手として歯科医院で勤務したときに、歯科衛生士の仕事に活かせるのは、患者の治療に必要な器具を揃えるといったごく基本的なサポート業務に限られます。
この点においても、歯科助手として働くことが国家試験対策に直結しない理由といえます。